
4月14日にクロアチアで開催された100マイルレース、Istria by UTMB に参加してきました。
最初に結果から話すと、168.2km / 6541mのコースを 23時間11分21秒、女性優勝(男女総合18位)となりました。多くの応援ありがとうございました!
私は今回のレースで決めていたことがあります。それは、スタートから先頭集団に着いていく事です。私はこれまで後半に順位を上げていくレース展開で戦ってきました。しかし、その戦略では優勝には程遠く、世界で戦えないことはわかっていました。UTMBseriesに出ることで、強い選手達の中で揉まれ、世界のスピード感を感じたかったのです。

レースは17時に丘の上にあるLabinという街をスタートし、海まで下ります。スタート直後からオースリアのイーサーが先行し、最初の5kmを4分30秒と私の100マイルレースの中で1番早い入りとなりました。そして、テクニカルなひとつ目の山を下り、次の山にを登る頃には彼女の姿はもう既に見えませんでした。私は彼女のスピードに着いて行こうと決めていたのに、全く着いていけませんでした。結果的に彼女の走りはそこでしか見ることができなかったのですが、勢いのある、そして華麗な彼女のステップを見て、世界の距離感を感じ、焦りで自分の走りが全く出来ませんでした。




深夜の山岳区間は雪が積もっており、吹雪の中前を進みました。山から降りると雨に変わりましたが、予想よりも雨は長時間降らず、寒さの弱い私は救われました。身体を冷やさぬようウエアの調整を何度も行いました。朝にかけ、濃霧がコースマーキングを隠し、ルートファイディングに神経を使いました。朝までにトップに追いつかなければ優勝は無い、そう思っていた私でしたが、この状況に一旦休戦し明るくなってから勝負することに決めました。


朝を迎えた100km地点のBuzetでは、サポーターに『疲れた』と何度も言うほど私は疲れていました。しかし、ここからがウルトラの世界です。ウエアを全て変え、気持ちを入れ替えて走り出しました。次のエイドに向かっている最中、トレイル上に止まっているイーサーに会いました。彼女はたくさんのトラブルを抱えた状態で走っていることを知りました。私は、彼女の話す内容を全て理解できず、彼女に対して何も声をかけることができませんでした。それなのに彼女は私を応援してくれました。ずっとリードしてきた彼女が走ることさえ出来なくなったことがどれだけ悔しいかを考えると、私はただひたすらに前を向くしかできませんでした。


最後の状況は、YouTube LIVEで見てくれた方々は知っていると思いますが、私は潰れました。最後の山を登っている最中に嘔吐し、エネルギー切れになりました。エイドにあるオレンジに吸い付き、とにかく固形物ではなく水分を吸収しました。ゴールまで残り25km、わたしは痛みや吐き気を架空のもう一人の自分に預け、走る事だけに集中しました。この区間は、すべてのカテゴリーのランナー達がゴールに向かい同じルートを走ります。多くのランナーがわたしに声をかけてくれ、励ましてくれました。わたしは声を出すたびに吐き気がしたので、全てに答えられませんでした。本当にごめんなさい。



ゴール前、LIVE映像をずっと撮り続けてくれたカメラマンが『スマイル!』と言ってくれてゴール会場のUmagの街に着いたことに気づきました。真っ青に煌めくクロアチアの海と空が祝福してくれました。自分の思い通りの走りは出来ませんでしたが、このゴールの瞬間は何度味わっても最高に気持ちいいものです。最後まで走り切れたのは応援してくださった多くの方々のおかげです。本当にありがとうございました。

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